短時間で売買を繰り返すトレード手法である「スキャルピング」。初心者はスキャルピングでは勝てないという話を聞くことがありますが、それは本当なのでしょうか。
また、その理由はどこにあるのでしょうか。
このブログ記事では、スキャルピングのメリットやデメリット、初心者が勝てない理由などを解説します。
FXのスキャルピングとは
スキャルピングというのは、数秒~数分で売買を繰り返して、小さな利益を積み上げるFXの手法です。
様々な手法がある中で、注文から決済までの時間が短いという特徴を持っています。
短時間でトレードを行うため、トレンドが出ている時も出ていない時も、チャンスがあればエントリーして利益を出せる可能性があります。
魅力的だと感じる方もいるでしょう。
しかし、スキャルピングにはメリットだけでなくデメリットもあります。
スキャルピングのデメリット
まずはスキャルピングのデメリットを理解しましょう。
知らないまま実践すると、損をする可能性があるので注意してください。
①一日中スマホやPCに張り付く必要がある
スキャルピングは一日の中で何度もトレードを行う手法なので、ずっとスマホやPCの画面を見ておかないといけません。
細かい値動きに反応して、確実にエントリーと決済を繰り返す必要があります。
もしも判断を誤れば損失が増えて、資金を失うことに繋がります。
想定外の値動きをした時も素早く対応し、含み損を抑えないといけません。
動きがとても激しいので、毎回のトレードで常に集中する必要があるのです。
しかし、人間の集中力には限界があり、永遠に画面を見続けることはできません。
決済のタイミングを逃せば、「少しでも損を少なくしたい」「もう少し価格が戻るのを待ちたい」といった欲が出てくるでしょう。
焦れば焦るほど冷静な判断ができなくなって、結果的に損が大きくなるかもしれません。
②多くのスプレッド(手数料)が発生する
スプレッドというのは、エントリーを行う時に証券会社に支払う手数料のようなものです。
ドル円の売買の場合、トレードを1回行うごとにおよそ0.3pipsかかります。
ちなみにpips(ピップス)というのは値幅の単位のことで、1pips=1銭(0.01円)です。
中には、0.3pipsくらいであればそこまで気にする必要がないと考える方もいるでしょう。
しかしスキャルピングは、小さな利益を積み上げる手法なので利益幅が小さく、平均5~10pipsくらいにしかなりません。
さらに、一日に何度もトレードをくり返すので、結果的にスプレッドの量が膨大になる可能性があります。
たとえば、1日に50回トレードすると0.3×50で15pipsかかります。
それが20日間続けば300pips、1年間続けば3,600pipsまで膨れあがるのです。
数日~数週間単で売買するスイングトレードなどと比べると、スキャルピングは利益に対するスプレッドの割合が高くなります。
場合によっては利益よりもスプレッドの方が多くなり、「スプレッド負け」という状態に陥るかもしれません。
③感情の上下が激しくなる
短時間でトレードを繰り返すスキャルピングでは、感情の上下が激しくなりやすいです。
損切りを繰り返している時には気分が落ち込んで、やる気がなくなります。
もしくは「次は勝とう」と思って意気込むことで、冷静さを失う可能性があります。
調子よく利益が出ていれば、嬉しくて気分が高揚しますが、その時点でもう冷静ではありあません。
通常よりも大きな金額でトレードを行ったり、チャレンジ精神によって自分の中のルールを破ったりする恐れがあります。
損が出ている時も利益が生まれた時も、自分の感情をコントロールする能力が求められます。
スキャルピングのメリット
ここまで読んでいると、スキャルピングはデメリットばかりだと感じる方もいるでしょう。
しかし、メリットもあります。
①一日中画面に張り付けて勝てる前提があれば資金効率が良い
一日中画面に張り付かないといけないというデメリットに対処できて、勝てる前提があれば、スキャルピングは資金効率が良い手法だといえます。
小さい利益を積み上げていくため、資産が少額でも取引できるからです。
うまく勝てれば、10万円が100万円になる可能性もゼロではありません。
そのため、あまり資産を保有していないけれどFXを始めたい方に向いているといえます。
②為替が変動するリスクが低い
長時間かけてトレードを行う手法を選んだ場合、為替が変動するリスクを考えないといけません。
寝ている間や仕事している間に相場が動いて、pipsの逆行が起こる可能性があるからです。
一方でスキャルピングはすぐに決済を行うので、変動のリスクはそれほど高くありません。
自分が画面を見ている時の動きを追えばいいので、想定外の出来事に遭遇する可能性は低いでしょう。
初心者はスキャルピングでは勝てない?
デメリットとメリットを確認した上で、スキャルピングを選ぼうと考える方もいるでしょう。
しかし、初心者であるほど、スキャルピングの難易度は高く勝てないと言われることがあります。
その理由は、売買の決断をすぐに行わないといけないことにあります。
刻一刻と変わっていく相場を見て、瞬時にチャートを分析しながら売買の判断を行うため、待つことができないのです。
どうしようかと迷っている間にも為替は変動して、チャンスを逃すかもしれません。
よって初心者の場合は、経験を積んで知識や判断力を身に付けてから行うことをおすすめします。
スキャルピング禁止の証券会社もある
まずは中長期的な手法でトレードを行ってみて、慣れたらスキャルピングにも挑戦しようと思っていても、できないケースがあります。
国内には、スキャルピングを禁止している証券会社が存在しているためです。
その理由は主に2つ。1つ目は、短期間で大量の注文が入ることで、サーバーに大きな負担がかかることです。
約定力が低下し、会社にとってのリスクになります。
2つ目は、会社側が損失を被る恐れがあることです。
証券会社は為替変動におけるリスクを相殺するために、顧客と反対のポジションを構えるという「カバー取引」を行います。
スキャルピングが行われると、カバー取引が追いつかなくなって結果的に会社が損をすることに繋がるのです。
まとめ
スキャルピングには、画面に張り付かないといけない、手数料がかさむといったデメリットがあります。
資金効率が良いというメリットもありますが、実践する場合はリスクを理解しておきましょう。
トレードの経験がない初心者が行うことはおすすめできません。
まずは本やネットなどで情報収集して知識を身に付けましょう。効率的に勉強するには、メンターに頼るのもおすすめです。